現在社会人歴約20年のしまろんパパ。
日、米・欧系と数々の企業を渡り歩き、実は転職のエキスパートだったりします(笑)
そんなしまろんパパが、日系と外資系企業の違い、それぞれの特色をお伝えします。
当然、日本中に何十万社もある会社の全てを見ているわけではないので、あくまで個人的経験に基づいた意見ではありますが、
- それぞれの企業風土や文化の違い
- 求められる人材の違い
- クビになる人や出世する人の違い
などなど、「外資あるある」がつまった内容になっています。
これから外資系企業への転職を希望している方は、ぜひ参考にしてみてください。
企業風土や文化の違い
日系企業から外資系企業に転職をしたとき、まず最初に驚くのがこの部分だと思います。
横並びが好まれる日系企業
日本企業は、ありとあらゆることをきっちり管理しています。
ともかく、リスクを低く低く。
1人休んでも、みんなでバックアップして全体を進めていきます。
Level5の仕事があるとして、良くも悪くも突出した人がおらず、1人の能力が1でも、その能力をもった人が5人いて、1x5=5で行こう。といった考え方が一般的なのではないでしょうか。
ある1人が2や3の実力を持っていたとしても、1として働く。もしくは、もっと出来るのに1の仕事しか与えらえない。
この場合、仮に、誰か1人いなくなっても4になるだけだから、そこまでインパクトはありません。
逆に、1人の人間が、その人間のやる気や能力だけで、2や3ぐらい仕事をやったり、5を全部やってしまうと、「でしゃばりな人」として鬱陶しがられることもあります。
少数の人が多くをやり過ぎてしまえば、「その人が辞めたらもう終わり」な状態になってしまうので、これを日本企業は物凄く嫌います。
また、勤務時間やその企業の文化も横一線になるので、自分の仕事が終わったから5時ぴったりに帰るのは許されない傾向も強いでしょう。
つまり、日本企業では、(一人だけ早く帰ったりしない事を含め)突出した行動をせず、自分に与えられた分の仕事を黙々とこなす人=「できる人」で、それを各個人がみんな忠実に守る事が好まれます。
日系企業のデメリットは、人の目を気にしながら、周りを気にしながら仕事をしなければいけないところかもしれません。
「俺、ここまでやっていいの?」とか「これやる前に〜さんと、〜さんと、〜さんと…、に話した方がいいよね」
など、仕事そのものよりも人とのやり取り(=根回し)が求められています。
個人の能力を重視する外資系企業
一方、外資の場合は、5の能力を「個人」に求めてきます。
本当に5の能力があるかは別にして、その能力を求められます。
しかも、5の仕事を頼まれる人は、ほとんどの場合、5の能力を持ってはいません。
それでも、5の能力を持った人にLevel5の仕事はあまり与えることはありません。それなら、1の能力の新人にやらせるでしょう。
5が出来る人なら、10や15の仕事が待っている。もしくは、5の仕事を数個同時に任せます。
自分のレベル以上の仕事を常に求められるので、外資の方がプレッシャーは常にあります。
自分の実力以上の仕事がふってくるし、他に頼る人もいないので(他は他で忙しくてそれどころじゃない)、個人の能力がとにかく重視されます。
その代わり、明らかに前の日飲み過ぎなのに病欠しても、会議をさぼっても、会社を午後3時ぐらいに出てお酒を飲んでいても、日本企業ほどは文句は言われません。
与えられた仕事に対して、その責任を遂行すれば、細かい事はどうでもいいので、自由と言えば自由です。
日系と外資系の働き方はまったく違う
上でも書いたのですが、日系と外資家の働き方は本当に明確に分かれます。
- 日系=集団で仕事
- 外資=個人で仕事
正直、日本人としては日系の方が文化的にはやり易いと思います。
情報を共有する日系企業
何もなくても情報共有はされているので、常に仕事の全体像を把握しながら進められるのは日本人としては非常に仕事を進めやすいと思います。
例えばグループ(チーム)アドレスみたいなものを作り、関係があってもなくても全部ccするとか、何でもかんでも「人を巻き込む」傾向があります。
その最たるものが、いわゆる稟議的なものです。
いろんな責任者があっちこっちでハンコを押して、「了解しました」と証明します。
逆に言えば、何か問題があった時に「俺知りません」は絶対に通じません。
自分から聞かなければ情報を共有しない外資系企業
一方、外資は、これでもかって言うほど、情報共有をしません。
そもそも、彼らには「みんなで情報共有」という概念があまりない気がします。
「知りたい事があるなら聞けよ」というスタンスなので、自分に関係がある内容だとしても、聞かない限りは教えてはくれません。
この部分は慣れるまでは日本人には理解出来ないのではないでしょうか。
こちら側にに何かを頼む場合も、突然メールがフォワードされてきて、「hey, can you handle this? thanks」。 以上。(笑)
外資では、こんな感じな見事な丸投げは良くあります。
もちろん、そこまでのやり取りを共有はしてくれていないので、そこから全てを遡って把握するところから始まります。
「いずれこっちに回ってくるの予想つくんだから、先にccをしておいてくれよ。その方が準備も出来たし」と思いますが、そんなことは基本的に考えてくれません。
もちろん全員ではありませんが、こんな風に「日本では絶対生きていけない人」 が外資には沢山います。
それが彼らの文化の訳で、外国の企業文化に合わせるのは当然の事。慣れるしかありません。
私は最初がイギリス系だったのですが、最初からこれが当たり前だったので、ある意味耐性がついててよかったかもしれません。
ただ、外資の中でも、アジア人はもう少し集団意識がある気がするので、アジア圏はやっぱり気質が似ている所があるのかもしれません。
会議の頻度や出席人数にも日系と外資で大きく違いがある
会議の頻度や出席人数も、日系と外資では大きな違いがあります。
日本企業の場合
まず、思いつくのが会議の人数と回数。 これはもう回数、人数共に日系が圧倒的です。
定例会議、グループ内の個別の進捗報告、その他もろもろ、しょっちゅう会議をやってるイメージがあります。
その度にWBSだとか質疑応答表(QA表)だとかを全部プリントアウトするので、会議が多い日だと、夜には机が紙だらけになり、一体どの紙が何の会議の事だったよく分からない事も多々あります。
ただ、ある意味では、その紙を後で見れば何となく進捗とか状況が分かったので助かりもします。
また、日系企業は会議の出席者も多いです。
自分が外資に居る時に、日系の取引先と会議をする時は、2 vs 10 ぐらいになる事はよくあります。
喋る人はお互い2人ぐらいで、後の人は何も話さずただ座っているだけ。一つの部署(やグループ)から複数人数出席するので、大手企業だと誰が誰だかわからないことも…。
外資系企業の場合
一方、欧米系の企業は、会議はやるけど、定例的にやる会議がそもそも少ない気がします。
ない訳ではありませんが、基本「必要ならその時集まろうぜ」「必要ならその時に個人間で聞こうぜ」と言う風潮が強いんです。
ある意味では、グループでやるプロジェクトでも、自分で情報を取りに行かないと全然シェアはしてくれません。
「え! それ聞いてないんだけど」なんて言っても、「いや、聞かれてないし?」といった感じです。
また、欧米系の企業は、1つのプロジェクトがあるとして、それを担当部署としては最少人数(1人とか)でまわす事がほとんどなので、全体的に会議出席者の人数が少ない傾向があると思います。
「その部署(グループ)は、お前が担当ね」となるから、失敗すると「お前何やってるんだ」と個人の責任になります。
責任の所在地が明確なので、逃げれられないんです。
情報共有も、日本企業のように、定例会議で素晴らしく綺麗にまとめられた資料が毎週配られて、各関係グループの進捗が自動的に分かる、何て優しい仕組みにはなってない事がほとんど。
そのため、外資でプロジェクトリーダーが突然会社を辞めてしまうと、大体の場合、全員が「???」状態になり、状況把握が大変です。
でも、「だったらDeadlineをずらせばいいんじゃーん?」という、日本人には斜め上の発想で、勝手に納期をずらしたりもします。
それを客に伝えても、客も客で特にあまり気にしません(自分のとこでもそういう事があるため)。
もしくは、未完了・未完成のものをとりあえず出してみて、問題・障害が見つかったら「わり、間違った。直すわ!」。なんてことも当たり前のようにあります。
日本人には考えられないかもしれませんが、これらは外資ではよくある事なんです。
外資でも、大事なプロジェクトだと、最初の数か月間とかは週一回の会議開催を「予定」する事もりますが、結局、誰が休みだから今日はキャンセル、娘が風邪ひいたから今日はキャンセル、そもそも会議に出ない(忘れてた)などなど…。
実質的には月1回ぐらいになる事がほとんどです(笑)
実際、「会議を忘れてた」とかは外資系企業にはホントに結構あります。
アメリカ時間の主催で、こっちは夜まで会社残っていても、「let’s move it to next week」の一言で簡単にキャンセルされます。
しかも会議開始5分前に!!向こうは全く悪いと思ってないので、sorryの一言もありません。
もう謝らなくていいから、せめて1時間前に言ってくれればいいのに。こっちは子供に会いたいんですけど…。
これって結構外資あるあるだと思うんですが(笑)
給与は圧倒的に外資が高い理由
これは一般的に言われている通り、数倍差があります。
同じレベル(業務・肩書など)で日系で500万としたら、外資だと1000〜1500ぐらいはもらえるのではないでしょうか。
英語力が必要とされるから
まず第一の理由は英語。
そもそも英語で面接、社内/社外やり取りが出来るレベルが要求されるから、そこでハードルがまず上がります。
プロジェクトの人数が少なく責任が重いから
後は、当たり前ですが、上記記載した理由で、例えば同じ仕事をするにしても、外資の方が人数が少なく責任が重い場合が多いから。
例えば、システムの変更があったとして、
- 日系:管理・社内調整(社員)→実務(下請けベンダー)→実務(孫請けベンダー)
- 外資:管理・社内調整・実務(社員)→実務(社員)
の様な感じで、人数も少ないし、責任範囲も広くなります。
且つ、上記の通り英語能力も求められるので、給料は必然的に上がります。
クビになる可能性が高いから
そして、ネガティブな理由としては、クビになる可能性が高いことも大きいと思います。
これは、個人の問題だけではなく、外資ではビジネス的に調子が悪ければ部署自体が全員クビね(部署ごと撤退)なんてことはよくあります。
「外資は給与が高くていいな」とはよく言われますが、そこそこリスクもある訳です。
外資系企業で評価される「出来る人」とは
これも本当に個人的な意見になりますが、こんな違いを私は感じています。
- 日系:良くも悪くもみんな平均的で突出した人はそこまでいない。
- 外資:出来る人は恐ろしく出来る。出来ない奴はびっくりするくらい働かない(クビ候補)
日本企業は、突出してできる人は、上から目をつけられたり、周りからやっかいがられる事があります。
日系は、例えば30人31脚的な感じで横一列で進むのが常識なので、出来るからって1人で猛烈に進めば、周りから迷惑に思われてしまうこともあるでしょう。
外資の場合は、30人でよーーいドンでスタート。1着はボーナス1億!2着は5000万!え?ビリ?お前はクビ!と、個人の働きに対しての評価がかなり優先されます。そのため、突出して出来る人が出てきます。
しまろんパパが感じる外資系企業にいる「出来る人」は以下になります。
コミュニケーション能力が恐ろしく高い
人の話をまず聞く、相手が何を伝えたいのかを正確に素早く理解する、それに対して最適な回答を最速で出す。
知識が多様である
自分の仕事分野だけでなく、色んな分野について幅広く知識がある(結果的に学歴と結びついてる事が多い)
頭の回転が速い
知識が豊富な為、一つの回答で詰まったとしても、すぐに違う回答、解決策を思いつける(結果的に学歴と結びついてる事が多い)
説明が上手い
人を「言い負かす」のではなく、論理的にしっかり説明した上で、人を「納得」させられる
仕事が早い
ある回答が解決策になると確信した瞬間に、即座に取り掛かり、実行できる 。
無駄に仕事しない
終わったらさっさと帰り、仕事を溜め込まない、無駄に長時間仕事しない 経験上、外資は、使えない奴がどんどん淘汰されていく為、いい人が残りやすい。
働くなら日系と外資どっちがいい!?
では、外資が圧倒的にいいのか?と言うとそんな事もありません。
外資系企業では、「使える人が多い」と言えば聞こえがいいですが、使えない人がクビになり、使える人が残っていく中で、毎回毎回よーいドンで短距離走をさせられるので、自分がいつ下位グループに入らないとは限りません。
必然的に、下がいなくなれば、自分は「下位グループ」に近づいていく訳です。
更に、それと同時に頭の柔らかい、回転が早い、若い(そして給料が安い!)人がどんどん入ってくれば、クビを切られる対象になる確率はどんどん上がっていきます。
給料が数倍でも、こういうリスクが外資にはあるんです。
言い方は正しくないのかも知れませんが、エサをぶら下げられたニンジンを必死になって追っかけてる馬みたいな感じで、かなりの全力疾走を求められるのが外資です。
日系は、「全員が協力してなるべく早く進む」事が重視されている為、良くも悪くも個人の能力がそこまで重視されにくいので、 若く運動が出来る人が、一人で無闇に早く走れても仕方ないし、歳を取って運動が出来なくなっても、今まで培った「周りとの協調性」と言う経験が役に立ち、その両方が上手くかみ合って進んでいきます。
その代わり、日系では、自分が若く、色々チャレンジしたくて一人で先に進みたくても、中々そうは出来ません。 若いうちは、評価や給料に反映されづらい為、退屈に感じてしまうかも知れません。
本当に一長一短。どっちがいいかは、その人の性格によると思います。
おわりに
日系も外資も渡り歩いてきたので、これから就職する人、転職する人が、何かの機会でこれを読んで役に立ったらいいなと思い書き綴ってみました。
ただ、これまでも書いていますが、残念ながら、どんどん日本企業も外資的な文化に染まってきています。
もう近い将来、実力主義の、外資的な文化を持っていない企業や個人は、どんどん淘汰されていく気がしてなりません。
将来苦労しないためにも、コミュニケーション能力(英語・日本語)を身につけ、外資的な文化で生きていける様にしていなかいといけないと個人的には考えています。